顔は見えなくても、ギターは凄く上手なのが、遠くからでも分かった。 オレンジ色の髪。 ギターが上手。 パッと見て、分かったのはそれくらいだった。 「涼、あの子バンドに入れてもいいと思うんだけど。」 そんな晴の言葉に返事をせず、女の子の座っているベンチに近付いていく。 「なぁ…」 声をかけると、ピタッと止まったギターの音。 振り向いたその子を見た瞬間、息をのんだ。