うじうじは反則だ。
こいつなりに一生懸命にやっているのに、それを嫌いだとは言えない。
目を合わせられないのは照れからか。
「そのままでいい」
「咲。ありがとうございます」
「ぶはっ」
引っ付かれた。
ぎゅうと抱き締められて、胸板できゅん――いや、窒息死する。
ギブギブとレスリングの選手みたくインキュバスの背中を叩いたとこで、やっと解放されたわけだが。
「あー、そろそろ時間ねぇ」
呑気声がよく分からないことを言ってきた。
「時間?」
「そぅ、インキュバスがこの世界にいられる時間。12時間しかいられないのよぅ」
「は?なにこいつ、帰んのっ」
私にここまでしといて……いや、特に何もされてないけど、ともかく。


