「待て待て待てーぃ。いいっ、もうそれ以上脱ぐな!」
顔に熱が帯びるのは生理現象。
上半身裸の奴は――男前すぎんだろっ。
小さい頃に見た父親の裸と比べてしまう。はは、メタボリック最悪。
メタボとは無縁の腹筋に、広い胸板。がっしりした肩幅。健康的に軽く焼けた肌も女心をくすぐる。
「やだぁ、鼻血がでちゃうわぁ」
「出すな、マジでっ。ほらティッシュ。そっちは服着ろ、服」
鼻を押さえるAを見たあと、インキュバスに目配せをする。
きょとんとした顔が可愛いじゃねえかっ。
「もういいので?」
「いいから!」
私の命令はきくらしく、いそいそと着替えるさまは何かエサをもごもごするハムスターを連想した。


