「あたし勝負に負けた。
でも福田くんのことは好き。

あなたとはライバル。


でも……でもね。

なんの遠慮もなく“麻弥”って呼ばれたのが一番意外で、


――ちょっと嬉しかった。


バスケ勝負結構楽しかった。ありがとう、梨沙」



初めて“梨沙”と呼んだ麻弥。


少しはにかんでいたけど、その表情はすっきりとしていた。



梨沙は、麻弥の言葉にどう感じたかのかは本人にしかわからないんだろうけど。

だけど、きっと心に響いてる。



……麻弥みたいなの、初めて。


誰も近寄らないあたしたち双子に


いや、

梨沙に“ありがとう”と言って笑った。



真っすぐで正直で正義感があって


麻弥がまわりから慕われる理由がなんとなくわかった。