「…朝日はバカだからな。でも、そのバカさに助けられることもある」


一夜は、朝日の親友なんだね。

ちゃんとわかってるんだね。


――朝日の“バカ”に助けられたことがあるんだと思う。



『知ってるよ、それくらい。一夜よりずっと前から…』


「だろうな」



一夜のクスッと笑う音が聞こえた。


…それにつられたのか、なんだかあたしもおかしくなってきた。



『クスクスッ、あはははっ!』



いきなり笑いだしたあたしに、きっと一夜は驚いてる。


あたしはずっと右腕で目を覆ってたから、一夜の本当の表情はわからない。


もしかしたら、“何だコイツ”って顔してるかもしれない。



でも、こんなふうに腹から笑ったの何年ぶりかなぁ。


『はは、あはははっ!!』


――全然止まらないけど。


今日のあたし、おかしいんだ。

絶対壊れてるよ。


逆に一夜は黙っちゃってるし。




――ポン、ポン。



『………』


あたしの壊れた笑い声が止まった。

全然止まらなかったのに。



それは、一夜が倉庫から飛び降りた時と同じことをしたからだと思う。

ボーっとしてたあたしにしたことと同じことを。


それがいきなりすぎて、あたしの声が止まったんだ。