『じゃあお母さんも気付いてた?』
「あぁ」
…あたし嘘が下手になった?
「前より磨きがかかってたけどな」
あ、下手になったわけじゃないんだ。
というか上達したみたい。
これはいいことなのか悪いことなのか…。
『なんでみんな黙ってたの?』
「砂希がそういうことするのって、言いたくないことあるんだろ?」
『……』
図星…。
「だから、姉ちゃんにまかせた。今日出かけるなら話くらいするだろうと思って。母さんもそう言ってた」
気付いても黙っててくれた優しさ。
やっぱりなんか照れくさい。
『ふーん…。っていうか、なんでお姉ちゃんだけ“姉ちゃん”って言うの?』
「だいぶ年離れてるし、なんか姉ちゃんって感じがする」
『じゃああたし達はなんなの』
「砂希と梨沙は年近いし、背だってもう同じくらいだし…いや、俺のが少しデカい?」
『嘘…』
あたしは改めてきちんと翔の横に立った。
……ヤバい。
3、4cmくらい翔のが高いかもしれない…。
「そういうこと」
『今いくつ…?』
「春に測った時169cmだった」
『はぁ…』
ダメだ。
男子の成長には勝てない。
「砂希ー、翔ー!何してるのー?ご飯食べるよー」
「「はーい」」
家の窓からお母さんが顔を出して、あたし達を呼んだ。
それに2人で返事をして、家に入った。