【直樹(ナオキ)side】
 俺は丹野(タンノ)直樹。中学二年生。悠奈とは幼馴染だ。

家も近いし、親同士も仲が良い。けど俺と悠奈はなんつーかよく喧嘩すんだよな。

面と向かって話すと俺はすぐ『うるせぇ』だの『キモイ』だの言っちゃうんだよな。

本当は可愛くてしょうがない。皆は、普通って言うけど可愛いんだ。

元気だし、明るいし、優しいし、たまに男っぽいけど。

ともかくこんな性格したやつはなかなかいねぇだろうな。

「いった!何すんの?」

「なんとなくはたいた。お前女ならもっとマシな反応しろよ」

 あ、また言っちまった。でも、俺がいきなり『悠奈可愛いな』とか言ったら気味悪がられるに決まってる。

「うっさいなー。あ、直樹って藤崎知ってる?」

 藤崎?確か、藤崎当麻だっけ?モテるん・・・だよな?

まさか悠奈、
 
「藤崎のこと好きなのか?」

 真剣に聞いてしまった。つか悠奈峰村っていう先輩好きなんじゃなかったけ?

「は?なわけないじゃん!あたしが好きなのは峰村先輩だもん」

「・・・・そか」

 安心してしまった。藤崎だったら勝ち目がない。あんなモテる奴だと絶対やばいだろ。

まぁ峰村先輩もかっこいいけど所詮先輩だ。

 幼馴染の壁なんてぶっ壊してやる!

「おーい。悠奈そろそろ始まるから行くぞ」

「分かった。んじゃあまたね、直樹」

「あ、おぉ」

 藤崎当麻か・・・。気をつけたほうがいいかもな。

俺は必ず悠奈を振り向かせる。絶対にな。

   悠奈、待ってろよ。