「ごめん…」
先生は服の中の手を引き出し私を強く抱き締めた。
「こんなつもりじゃなかった。ごめん。送ってく。」
放心状態で震えて立つことすらできない私を見て先生は謝り、おぶって家の前まで送った。
「夢茄を幸せにできるのは俺しかいない。悩ませたりしない。もう泣かせたりしない。だから考えてみて。付き合ってもらえるかどうか。」
その言葉を残し先生は私の前から姿を消した。


翌朝目をパンパンに腫らし、学校へ行った。
「どうしたのその顔!?」
真っ先に心配してくれたのは幼馴染みで団地が一緒ということで生まれた頃からずっと仲がいい稲美(いなみ)だ。
「稲美…助けて」
その言葉と同時に私は意識を失った。

気がつくと保健室のベッドで横になっている私を心配そうに保健室の先生と稲美が見ている。
「夢茄大丈夫!?」
優しい言葉にまた涙がこぼれた。
「二人でゆっくり話してなさい」
保健室の先生が気を効かせて、放課後ということもあり保健室を貸しきりにし、職員室へ向かった。
「話が終わったら職員室へ来てね」
ありがとうございます。とお辞儀をし、二人きりの静かな空間になった。
「なにがあったの?」
涙が溢れだし話そうとしても声がつまる。
時間をかけて昨日のことを全て話した。