「今さあ塾の先生たちと飲み会だったんだよね〜!」
「塾の先生も飲みいったりするんだ」
「でさでさ?拓也先生が夢茄のこと可愛いって言ってたぞ!」
拓也先生は数学の先生で、私が数学ができないのでとてもお世話になっている先生だ。
「はいはい。で、どぉしたの?こんな時間に」
「あーそうそう!今夢茄の家の前にいる。DVD持って出てこれない?先が気になっちゃってさ」
そういうことか。と私は電話を切り、スウェットにダウンを羽織りDVDを片手に外へ出た。
「こっちこっちー」
真夜中だと言うのにうるさい男だ。
「ジャーン」
なにかとテンションが高い戸田先生の片手には、水分を出してビニール袋をピタッとくっつけたチューハイがぶら下がっていた。
「まだ飲むの!?」
「夢茄と飲みたくなっちゃって!」
完全に犯罪をおかした塾の教師はタバコをふかしながら
「吸ってみる?」
と細長い紙包みに火をつけこちらに差し出した。
それと同時にチューハイの缶をプシュッと開けた。
悪いことは基本やって来たがタバコだけは吸わなかった。
いや、吸えないのだ。吸うとむせて最終的にオェと言う雑音が口から発せられる。
「いいよむせる」
「なんか悩んでんだろ?スカッとするよ?」
なんで知っているんだと思ったが、毎回目を腫らして塾に通っていれば分かるか。と自分の中で納得した。