月影

連れて来られた先は、政宗達のいるスタジオだった。なにやら揉めているようで、政宗がカメラマンらしき男性と言い争っていた。

「コウ？」

声をかけると、コウは苦笑いを浮かべていた。

「相手の子がまだ来なくてね。政宗がもう待てないから帰るって言ってるんだ」

「へー、それは困ったね」

他人事のような返事をする。

「そうなんだ、困ってるんだ」

そう言って、肩をぽんっと叩いた。

「え？」

まさか、と顔を顰める深幸。

「なんとか政宗を説得してくれないかな？表紙の撮影も兼ねてるから、撮らないってのはできないんだ」

コウの言葉に深幸はため息をついた。