言われた通りに廊下を進むと、無事に政宗の控え室に戻ることができた。

部屋に入ると、ペラペラと教科書をめくりながら、コタロウのことを思い出していた。


‥コタロウさん、助けてくれたんだよね。


そのことがなんとなく嬉しかった。
自分の勘違いかもしれないと思ったが、結果的には助けられたことに変わりはない。

部屋で一人、ぼうっとコタロウのことを思い出していると、コンコン、と部屋のドアを叩く音がして、深幸ははっと我に返った。

「あ、いたいた」

開いたドアから顔を覗かせたのはコウだった。
不思議そうに深幸が首を傾げていると、コウは深幸の手を取り、来て、と言って部屋を出た。