「こたー?」

少し離れた場所で誰かを呼ぶ声がした。
コタロウはその声に反応し、くるりと向きを変えた。

「あっ‥」

少し寂しそうな声を思わず出してしまい、深幸は慌てて口をふさいだ。

「‥政宗さんの控え室は、そこをまっすぐ行って、左に曲がってすぐの右手の部屋です」

コタロウはそれだけ言うと、その場を後にした。