この時代は、やはりすごいな。


陽が落ちてからだいぶたつというのに、街の中は煌々と光で溢れていた。

この時代にきてからもう1年が経とうとしていた。
生きていくために必要なことは、彼女に全て教えてもらい、今では一人で買い物に出かけることも出来るようになった。


俺のことなど、知らないはずなのに。


ただ、娘の幸姫を知っていた。
ただそれだけなのに。

彼女は俺を養ってくれている。


少しは役に立ってているのだろうか。


時々、そんなことをふと思う。
彼女に聞くと、決まって彼女は笑ってこう言う。

『家族なんだから、役に立つとかそんなこと、考えなくていいの』

主を守ることしか知らなかった俺には、家族なんてものはなかった。
あったのはただ、風魔一族の仲間だけ。