月影

「ほら」

「ありがとう」

渡されたコーヒーを飲んで、はぁ、と一息つく。

「…そういえば、来週父さんと母さん、帰国するらしいぞ」

政宗に言われて、深幸はほんと？と明るい表情になった。

「久しぶりだよね。前帰ってきたのって…」

「確か正月だからな。もう半年以上経ってる」

言われて深幸は笑った。

「それにしても珍しいね、こんな時期に帰ってくるなんて。まだお盆までだいぶあるのに」

仕事の関係で海外にいる両親は、基本、帰ってくるのは大体、お盆とお正月くらいだった。

「ま、別にいつ帰ってきても一緒だしな」

政宗の言葉に、それもそうだね、と深幸は笑った。