月影

「計算間違ってるぞ」

「え、嘘⁉」

お昼過ぎに仕事から帰ってきた政宗に勉強を見てもらっていたのだが、さっきのことが気になっているせいか、小さなミスをちょこちょこと起していた。

「どうした、なんだか上の空だな」

政宗に言われて、そんなことは、とふるふると頭を振った。

「まぁ俺はいいんだがな。この調子なら、賭けは俺の勝ちだな」

言われて深幸は慌てて計算をし直す。

「こ、これであってる⁉」

再度出した答えを見せると、政宗はあってる、と頷いた。

「ちょっと休憩でもするか？」

そう言って、政宗がキッチンに向かう。

「コーヒー、飲むか？」

聞かれて深幸は、うん、と頷いた。