もうどれくらい経ったかわからない。
とはいえ、緊張のせいでそう感じていただけで、実際にはほんの数秒程度の間だった。

耐えきれず、恐る恐る顔をあげると、そこには優しく微笑んでいる小太郎の顔があった。


笑ってる…


今日、一緒に過ごしてきた中で、小太郎の表情が変わるのを、深幸は初めてみた。その優しい表情に、胸の奥がかぁっと熱くなる。

「…どうかしたか?」

小太郎に言われて、深幸は慌てて首をふった。

「ありがとう」

小太郎は言って、メモを受け取ると、それじゃぁとその場を去って行った。
深幸はぼうっと、小太郎の後ろ姿を見つめていた。