わざわざ話を聞いたのに…無駄な事だったみたいだ。

私が背凭れに背を預け、元ちゃんを見ると、来賓席の後ろに立つ、同世代であろう男女数人と話してる。

元ちゃんが楽しそうな姿を見るのは、彼女として喜ばしい。

なのに…喜べないのは、1人の女性が、元ちゃんの腕にくっついて、楽しそうに笑ってる。

元ちゃんを見上げる表情は、まるで私が元ちゃんを認めるようにも思う。

…何で振り払わへんの?

私はジーッと、その光景を見つめた。

もちろん、離れた場所から見つめても、元ちゃんが気付くわけがない。

出番もない私は立ち上がり、水道へ。