途中、
タクシーがあたしたちの目の前を通り過ぎた。


「アレ?優美?」

「おっ・・・お母さん?」


あたしは
とっさに健也くんから離れた。



健也くんは、

少し悲しそうな顔をしていたけど、
それどころじゃない・・・。



「えっと・・・その・・・。」



言葉を詰まらせるあたしに
鋭い目つきであたしを睨む。


・・・・ほら、


その目つき。

なにひとつ



愛情のかけらもないじゃん。








「優美のお母さん、今晩は。
同じ高校に通う高島健也です!!」


直角90度に腰を曲げて、
優美のお母さんに挨拶した。


「詳しい話は家で聞くわ。」



と言って、
タクシーに乗って去って行った。



お母さんの背中は



いつも以上に


疲れているように見えた。