私がおネエの変化に気付いたのは、私が中学2年の秋だった・・・。




「ねー、おネエいい加減変わってよ~。」


洗面台をずっと独り占めするおネエに、私は文句を溢してた。


「ゴメン。里美。
 だって、今日生徒会の初顔合わせなんだもんっ、、。」

「あと5分だからねー。あと5分しか待たないからねー。」


朝から念入りにオシャレをするおネエ。
おネエは、先週行われた生徒会選挙で会長になった。今日はその初めての仕事の日らしい。

鏡に映るおネエ見ながら私は、おネエは私と違って美人だし、別にそんなにオシャレしなくてもいいと思うのになーと思ってた。



「あ。
 何このリップ?見たことなーいっ」


おネエの化粧ポーチから、私は1本のリップを手を伸ばして取ろうとした時、

 バシッ。


「・・イタッ!」

「・・・ご、ごめん。」

「もう、、。」


いきなり私はおネエに手を叩かれた。
ま、おネエのリップを勝手に取ろうとしたのは私なんだけど、叩かなくても・・・


「特別なんだ。このリップ。」

「へぇ?」

「好きな人が買ってくれたの。」

「好きな人?彼氏できたの?おネエ。」

「ううん。好きな人・・・。」


おネエは、それ以上深くは話してくれなかった。
私もそれ以上深くは聞こうとはしなかった。

ただ、

おネエはすごくリップを大切そうに持ってて、幸せそうな顔をしてた・・・。