5、6時間目は家庭科だった。

今日は調理実習室が空いてるから、好きな「おやつ」を作って良いってことになっていて、私と里美は一緒にクッキーを焼いていた。


「里美、ココアどこ~?」

「あ、カバンから出してないかも~?」

「えー、カバンどこよ?!」

「そこの窓際!赤のヤツ~。」

「あぁ、コレかっ♪」



 ♪ キーンコーンカーンコーン~ ♪


途中の休憩時間も忘れ、里美と私は何種類ものクッキーを作ってた。


「あ、あった!」


里美のカバンからココアを取り出し、ふと窓から外を覗くと、中庭を挟んで目の前に走る渡部先生の姿が見えた。

そして、、、

さらに渡部先生の走る先に、美加を見つける。



「葵、なにボーっとしてんのっ?早くココア混ぜてよー。」

「あ、ゴメン・・・。」


渡部先生と美加の姿に一瞬固まった私を、里美の声が動かしてくれた・・・。