写真を撮り終えて、先輩は右手を差し出してくる。

私はその右手に、右手をゆっくりと差し出した。



握手を交わし、


「会えて、嬉しかったよ。オレ、遠くの大学行くからさ、次会うってことはなかなかないだろうけど・・・。
 また会える日を楽しみにしてる。」

「・・・はい。 
 部活ではお世話になりました。大学でもテニス頑張ってくださいね。」

「あぁ、桜井も部活頑張って!」

「はいっ。」

「またなっ!」


先輩は笑顔でさよならを告げると、仲間の輪の中に戻っていった。


「・・・。」

 ・・・ポンッ。

先輩を見ていた私の肩に、大好きな右手が乗る。


「・・・せ・ん・せ・い。」

「・・・ぷっ。
 何で手を乗せただけで、気付くかな?」

「そんなの当たり前ですー。」

「・・・卒業だな。」

「うん。」

「葵も、もうすぐ2年かぁ~。」


そう呟くと、先生は私の頭をポンポンと叩いて、職員室の方へと歩いていった。



さよなら、真鍋先輩。

さよなら、私の淡い憧れ。