「ただいまー。

 ね、お母さん。
 今度の28と29に合宿があるんだけどー、行ってきていい?」


私は帰宅してすぐ、キッチンに立ってるお母さんに向かって言った。


「え?合宿???」


お母さんは炒め物をしながら、私の声に反応した。



「うん。学校で、泊まりであるみたいなんだけどー。」

「あぁ、中学の時もあったわねー。 夏休みに。」

「うん。」

「うーん、、。 何もなかったと思うけど、、、。
 それより葵、あなた風邪治ったばかりでしょ? 大丈夫?」


料理していた手を休めてお母さんが振り返る。



「もう、、今日も部活してこんな時間まで。 病み上がりなのに!」

「あー、もう大丈夫!! ホラ、咳も出てないし~。
 じゃぁ、行っていいんだよね?合宿。 じゃ、ココに用紙置いとくから書いててね!
 ありがとう!お母さん!!」

「・・・もう!!」


私はお母さんの説教を受ける前に、勝手に話を〆て、自分の部屋へと階段を駆け上がった。





 ・・・バタン。


部屋のドアを閉めて、思わず笑みが洩れた。

そして、

部屋の明かりもつけずに、カバンを嬉しさを確かめるように抱きしめた。

合宿のある2日間は、

一日中 先生と一緒に過ごせる・・から。


カーテンの隙間から部屋へと入ってくる隣の家の灯りが、今の私の姿を見られてるような気持ちにさせ、少し恥ずかしくさせた。