パン!
ドキッ
急に目の前で手を叩かれて、ビックリした。
「俺と話してんのに、妄想トリップしてんじゃねーよ」
なんか、今日はこいつ、いつもに増してご機嫌斜めな気がする。
いくら嫌いと言っても、長年の付き合いなので、それ位の事は分かってしまう。
「何イラついてんの?」
私がそう言うと、あからさまにムッとした顔になった。
そして、そっぽを向いて言った。
「この前の試合、日高が後半33分のパスミスしなけりゃ、引き分けじゃなくて勝ってたかもしれないのになぁ」
また始まった。
『後半33分』って細かい所まで覚えて、大地くんの悪口を言う。
嫌いなら、見なければいいじゃん。
なんでそんなに、大地くんの事だけ目の敵にするの?
それに……。

