だけど、視界に入る亜矢ちゃんの表情が気になって、真由美ちゃんほどまでは騒げない。
「亜矢は恵介のファンなの。ね、亜矢!」
真由美ちゃんは全然、気づいていないみたい。
あたしは遠慮がちに、亜矢ちゃんに向かって笑いかけた。
「そうなんだ?」
一緒にいても、話についていけても、不安はなかなか消えてはくれない。それは、この子が……。
「先、行ってて。……あたし、トイレに寄りたいから」
話しかけたあたしの顔を見ることもなく、亜矢ちゃんは真由美ちゃんにそう告げて、そばから離れていく。
「亜矢、調子が悪いのかな? トイレ、さっきも行ってたはずなのに」
「……」
真由美ちゃんの言葉にぎこちなく頷きながら、あたしは去っていく彼女の後姿をじっと見つめた。
亜矢ちゃんはまだ、あたしを受け入れてない気がする。



