遠くにたくさんいたはずの海水浴客が、

もうまばらにしか見えない。


代わりに海の反対側では
灯りが灯りだしていた。


静かに波の音だけが響く砂浜を
王子くんと並んで歩く。


脱衣場まで戻り、ロッカーから荷物を出すと携帯がチカチカ光っている。


携帯を見ると加奈子から、
水梨くんと先に帰るとメールが入っていた。


脱衣場の外で
王子くんに加奈子から来たメール画面を見せると


王子くんもおもむろに自分の携帯を取り出した。


「ん」

私に携帯を向ける王子くん。


「え…?何?」


「何って…赤外線。」


王子くんの言葉に私もようやく理解する。