「……………」


俺の脳裏に浮かんだのは
真剣な渡瀬の目


はっきり覚えている




“大切な人の為だから、土下座もできるんだよ”


あの日渡瀬はこう言った。


見かけによらず、強い渡瀬…


同時に

屋上前で泣き崩れた渡瀬も思い出した。


あれは強い渡瀬がみせた
本音の涙だった。




「うっざ……」


胸がモヤモヤしてうざい…


なんで…

なんでこんなにうざいのか


渡瀬の顔を思い出すのか…











本当は俺は…気付いてる。




俺はそのまま歩き出した。