「……本当に?怒ってないの?」


「うん!それより大地とすぐ別れたりしたら、許さないからね!」


強がってみた。

後から何かが込みあげて来た。

その何かは、あたしの喉に詰まって鼻をつんと刺激する。



全て嘘で塗り固めた言葉。

何で、あたしはこうなのだろう。

肝心な時に本音が言えない。

何で、こんなに臆病なのだろう。


でも、ここであたしが怒ったって何も変わらない。

どっちにしろ大地は華耶のこと好きだった訳だし、あたしと大地は付き合ってた訳ではない。

だから華耶が大地を好きになったって、あたしには何も言えない。
そんな権利、何処にもない。


今更悪口みたいなことを言っても、ただの負け犬の遠吠えにしか聞こえない気がして、あたしは嘘をついた。




これでいいんだ……。

こうなる運命だったんだ。