「流石……」


夢の世界と言うべきなのだろうか……論理的であるような反面地に足がついていないような不思議な世界だった。


この……

私の悪夢も同じようなものだったのだろうか?


ふと感じた疑問と共に、獏の持つ黒く光る玉を見つめた。


「この……私の悪夢はどんな内容だったの?」


それに触ったとたんあらわれた痛みに、いまだに残る奥歯に何かが挟まったような感覚が気持ち悪くて仕方なかった。

その言葉と共に何の脈絡もなく出た言葉。


「俺には……良くわからない……。人間のように感情があるとはいえないから」


唐突に振ったにも関わらず、視線を少し下にして話ずらそうな表情で話した。


「……」
「こう見えて数千年生きているんだ……。感情なんてとうに忘れた。最近は悪夢を食べるために生きているようなものだ」


そう嘲笑した彼がとても儚く消えてしまいそうな様に聞こえた。