緑の芝生の上に、白いピアノが置かれていて。

その周りに、いくつかパイプ椅子が並んでいる。


奥には白いベンチ――……


思い出の、中庭――。



――ここで演奏会を?



「木崎っ」

この声に、


「先ぱ……」

言いかけて、ドキッとした。



先輩の後ろから、ひょこっ。


「こんにちは」

見知らぬ女の人が顔を出した。


「こ……こんにち、は……?」

挨拶をしながら、先輩を見る。


「ああ、紹介するね。山田春美(ヤマダハルミ)さん。僕の彼女」

「へーえ」


自慢げ――っていうか、彼女いたんだ。