「あ、ねえ。ジュヨンのCDって、来月出るんだよね?」

「うんっ、そうだよ」


「予約しとく?」

「そうしよ♪」



突然、

「すみません」

声をかけられてギクッとした。



「あの、韓国のピアニストで、カン・ジュヨンっているじゃないですか」

「……はい」


「その人のCDが、来月出るんですけど……予約できますか?」



CD?

カン・ジュヨンのCD……??

私、CD担当なのにチェックしてない……。


でも、仕方ないよね。
カン・ジュヨンなんて、知らなかったもん。



――あ。

うちの本屋、本以外に『CD』と『文房具』も売ってるんだ。

入社した頃、ちょうどCDの担当さんが辞めたばかりで、私がそれを引き継いだの。



「え、あ、はい。少々お待ち下さいませ」