「天気、いいですね」

「…………」


「ポカポカ日和」

「…………」


「こんな日は、どこかに散歩しに行きたくなる」

「…………」


「ねぇ、足長さん?」

「…………」


いくら話かけても、足長さんには届かないの。



「あ、今日、お客さんがね、同じ雑誌を3冊ずつ買っていったんですよ」

「…………」


「一冊は『読む用』で、もう一冊は『保存用』、あとの一冊は『予備用』なんですって」

「…………」


「予備用って、何なんでしょうね」

「…………」


それでもめげずに足長さんに、私の(くだらない)話を聞かせていると――。



「おねいちゃん」

くいっ、と服の袖を掴まれた。