綺麗な旋律――。


ピアノを弾くジュヨンさんの姿、ちゃんと見るのは初めて。


前は、ジナさんとの仲が気になって、演奏どころじゃなかったから――。



動きが――何だか……。

……色っぽい――。



どくん、どくん。
相変わらず、高鳴る心臓。



「――っ……」


ピアノの音色にあわせて、ジュヨンさんとの思い出が浮かんでくる――。




記憶のないジュヨンさん。
いつも寂しそうな瞳をしていた。

毎日一緒だった。


初めて見た、笑顔。
心が温かくなった。


初めて見た、涙……。
胸が締めつけられた。


いつの間にか、芽生えた想い。
いつまでも、こんな日々が続くと思っていた。


だけど、突然訪れた別れ。


言葉も文化も違う、異国の有名人。


あなたは、普通なら出会えないはずの人だった。



だから――。

再会した時、運命だと思った。



それもつかの間、結局は私の片思い。

でも、それすら許されなかった――。


あなたには、心に決めた人と、
婚約者までいた――……


行き場を無くした、私の想い。
胸が痛いよ――。