「少し話そう」


先輩はそう言って、さっきまで私が座っていた、ベンチを指差した。



「……はい」

返事をした後、2人でベンチに腰掛けた。



「木崎、何かあったのか?」

先輩が心配そうに聞いてきた。



「…………」

でも、何も答えられない。



もし、口に出したら、本当になる…――
ジュヨンさんとジナさんが……。


結婚しちゃう――!



「もしかして、カン・ジュヨンさんが原因?」

先輩は気づいていた。



「演奏会の日、木崎途中でいなくなったでしょ?」

「……はい」


途中で佐伯くんに呼ばれたから……。


「ジュヨンさん、心配して探しに行ったんだけど……」


「え?」