足長さんは、そのボールに何の反応も示さない。


まるで、そこにボールなど存在しないかのように……。


……拾ったりしないのかな?


――――――。


……拾わないんだ。


すると、小さな男の子がボールを拾いにきて、足長さんに話しかけてるみたい――。


だけど、やっぱり無反応。


――何でだろ?

私は、意を決して(このままじゃ、何かストーカーみたいだし)、病院の中へ。



中庭のベンチの前まで行って、

「こんにちは」

足長さんに、ご挨拶。



春のそよ風が運んだ奇跡。

これが、運命の出会いだったよね――……