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10月になって、美華ちゃんと斗真の関係は変わらなかったけど俺は何も言わなかった。
俺が口出し出来ることじゃない。
俺は美華ちゃんが笑ってくれてればいい。
整列して新しい保健医が壇上に上がると、甲高い歓声が上がった。
うわあ、確かにかっこいいけどさ。
美華ちゃんは何とも思ってなさそうだ。
だってあの子は……
「オイ」
後ろで斗真が誰かに声をかける。
隣の女の子なんだろうけどさぁ。
もうちょっと優しく声掛けないと、嫌われちゃうよ?
結局話は発展しなかったみたいだし。
いつまでこうなのかなぁ。
もういい加減、はっきりしてほしいよ。
好きなら好きでくっついちゃえばいいのに。
こっちの身にもなってくれよ。
美華ちゃんのことは大好きだけど、“あの”斗真が本気で恋してるんだ。
俺、諦めるしかないじゃんか。
ある日の昼休み、4時間目が終わってすぐに弁当を持つ美華ちゃんを見た。
あれ、今日梢ちゃん休みなのにどこ行くんだ?
美華ちゃん、友だちあんまいないのに。


