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そして斗真の誕生日、夜中に斗真が来た。
夜中に来るのは珍しくないけど、斗真が落ち込んでいることに驚いた。
コーヒーを淹れて俺の部屋に招く。
「で、なんかあった?斗真がそんな顔するなんて珍しいじゃん」
「……」
「とりあえず冷める前に飲めよ」
コーヒーを飲むように勧める。
やっと口をつけて、少し落ち着いたみたいだ。
さて、一体どんな話なのか…。
どこかわくわくしていた俺は、斗真の話を聞いて呆然とした。
けどどこかでやっぱり、と納得した。
「……美華が、好きなんだ」
ああ、お前も美華ちゃんの魅力に気付いてしまったのか。
気付いたら、知ったら彼女から離れることなんて出来なくなる。
彼女はどこにでもいそうな子だったけど、中身はまるで麻薬のような子だった。
あの優しさに触れてしまったら、依存してしまう。
俺もお前も、あの子に囚われたんだな。
俺は相変わらず美華ちゃんが好きだったけど、斗真にそのことを告げられずにいた。


