こねたぼっくす




生憎、美華ちゃんの席は斜め後ろだった。

くっそ、斗真め……!

地道に邪魔してきやがって!

あ、やばい、斗真の口調が移ってきた。

こんな乱暴な口調じゃ美華ちゃんに嫌われてしまう。

気を付けねば。


美華ちゃんが席に着いた気配がした。

美華ちゃんは自分から声をかけてくるような子じゃない。

だから俺から声を掛けた。


「九条ちゃんおはよう、同じクラスだね!」

「おはよう櫻沢くん、同じクラスになれてよかったぁ」


あ、朝からなんて言う攻撃だ…!

無意識で俺を喜ばせるんだから!


「今日って委員とか決めるのかな?」

「んー多分ね?」


身体ごと美華ちゃんに向けて話す。

美華ちゃんは真面目っ子だから、やりたくない委員とか押し付けられそうだ。

俺が守ってやんなきゃ!


「同じ係なろうよ」

「本当?嬉しい…」