こねたぼっくす




「ぷっ…あはは!」

「わ、笑わないでくださいぃ…っ」

「だって…!」


目、逸らしたのは恥ずかしかったからなんだろ?

可愛すぎる理由に笑いが零れた。

最初は泣きそうになっていた彼女も、笑ってくれた。

その笑顔が可愛くて、胸の奥がきゅんとした。

……いやいや、好きじゃない!

好きじゃないから!


「あ、この間の本はどうでしたか?」

「うん、面白かったよ」

「そうですか、よかったですね」


ありきたりな言葉でも、彼女が言ったなら特別な言葉に聞こえた。

このときから俺は、彼女に惹かれ始めていたのかもしれない。


「今度はこれを借りるんですね」

「うん、読んだことある?」

「こういう話はちょっと…」

「そっか」


まあ見るからに得意そうじゃないな。

彼女には平和的な話が似合う。


「感想聞かせてくださいね」

「うん」


それから俺たちは、会うたびに言葉を交わした。

こんにちはって、挨拶するときの彼女の笑顔が好きになった。