森には炎…。空には黒煙…。




「焼きつくせ!あぶりだすのだ!」




めりめりと音をたて樹が倒れて行く。





最大の禁忌を犯す。





「魔物討伐だ!倒したものには褒美をくれてやる。姫を探しだせ!」





炎は強くなる。森は悲鳴をあげているように煙を出している。





突風に隊列が崩れる。






それ以上進めず。野営をする。






その夜は月もなく。闇の中…。





火を絶やさず燃やしていた。






兵士コルカとサリは火の番をしている。





「嫌な風だ…。」



「まったくだ。気味が悪い。」






暗闇に焚き火の炎で影が揺れている。






森はざわざわと音をたて、出ていけと騒いでいるようだった。






コルカは炎を見つめ
「なんだってこんな場所に進軍したんだ?」



「王子が姫が逃げた森はここだとおっしゃって。実は取り逃がしたサドの嘘だっていう話しもあるぜ。」





「そりゃないぜ。こんな薄気味悪いとこで女なしで…。」





サリは火を見ていたが影が揺れている。





自分たちの影ではなかった。






悲鳴は闇にかき消された。





テントに炎が燃え上がる。