城にも炎が回る。悲鳴が響き、血と焦げ臭い煙に包まれていた。

「お母様!」

「生きなさい!ニーナ!」


「いや!!ダメ!」


守りの兵に連れられ抜け道に身を隠す。


隣国アズライト…。凶王ハーグの息子ハイド…。

アンバー国は滅んだ…。たった今。

王と王妃は無惨にも斬り殺された。



兵は次々に減り、バアヤと二人…。

「ニーナ様…。名を隠して外に逃げるのです。ニーナスライト・アンバー。普通の女の子として。王家の血を絶やしてはなりません…。」


民家に入り、服を盗んだ。

アズライト兵がうようよ歩き回っている。

「おい!お前顔を見せろ!」


「娘が何か?」


ニタリと笑う兵。グイグイ腕を引っ張る。

「イヤっ!」


振りほどいた手が兵にあたる。


「逃げて!!」


バアヤの叫ぶ声…。森に走り込む。バアヤの倒れる音がした。


「探せ!!」


走る闇の中に。私の心はすでに闇の中。
恐怖でいっぱい…。とにかく走った。