ピチャッ…。

耳元で音がする。生臭い臭い…。鉄の…これは血?

「娘…。久しぶりに甘い味だ。」


「?!」


「怖いか?娘よ。私の姿が…。私の庭に入ってしまうとはな。」


美しいその姿に見惚れた。

「貴方は主…様?」


主はただ見ている。綺麗な瞳は…怖いはずなのに「綺麗…。」

ポツリと思ったことを口にした。


「面白いことを言う。これでもか?…。」


傷口に口を寄せ、私の血を奪っていく。


「あっ…。」


傷が消えていく。

「娘名は?」


「ニーナス…。ニーナ…。ニーナといいます。」

「ニーナ…。」


日が沈み主が消えた。


「狩りの時間だ…。」


主は闇に溶ける。

森が答えるようにざわめいた。