その先に…。二つの影。





ハイドは気配に振り向いた。





暗闇に紅い光が二つ。
ナイフを投げつける。






「グッ…。」






手応えがあった…。二つの光は動かない。
自分がいないように。光の先は…。






冴えた笑いが出る。
「魔物はこれを追ってきたのか…。僕が先に遊んだよ。壊れたかな?」






冷たい目を向け、紅い目にナイフを投げつける。





闇はナイフを弾き突き刺さる。束のある剣を引き抜き斬りかかる。
闇はそのまま覆い被さり鈍い音を立てた。






どさりと倒れる塊と人。
人は外に逃げ、火の海に叫ぶ声…。






異質な塊は壊れた魂をそっと包む。






火の海は人の痕跡を炭と化し。そこは黒いものしかなくなった。






朝が来る。
闇は光に溶ける。
光は闇に溶ける。
壊れた魂は闇の中…。
紅い光は漆黒の輝きに変わる…。漆黒の裏には赤い…星。
自分を恐れ、人を寄せ付けず、闇の中でしかなくなったはずの化物は…。優しい口づけを落とす。





琥珀の輝きは漆黒の闇の中。
甘い香りは闇の元。
漆黒の闇に光を届け…。





主は巣に戻る。孤高の玉座へ。
光は闇に。闇は光に。
そこにはもう孤独はない…。






そこは闇の森…。禁忌を犯すものは消えていく。



主の庭に入るものは排除される。






ただ一粒の琥珀の輝きは闇に光る。






end