「おぇっ……」
「またぁ?
大丈夫?伊織~。」
ある昼下がりの日曜日。
たまたま仕事がお休みだった理央とランチをしようと家の近くのカフェに行った時。
コーヒーの匂いをかいで気持ち悪くなった私は、席に座って思わず吐き気をもよおしてしまった。
「あ、うん…大丈夫。
なんか最近からだの調子がおかしいんだよね。」
“吐く”までにはいたらずに、お水を飲んでキモチ悪さをごまかす。
係長になったからかなぁ。
なんだかこの1週間ぐらい、胃がムカムカして落ち着かない。
大好きだったフレーバーティーも匂いが気持ち悪くって落ち着かないし、なんだかやたらと桃が好きになって桃系の飲み物や食べ物ばっかり好きなんだよねぇ。
「なんだろうねー。
桐谷慎に捨てられたショックと仕事のストレスで自律神経がおかしくなってるのかなぁ。」
「なーに言ってんの。アンタは部長さんに捨てられてなんてないじゃない。
あーんな熱烈なラブレターまでもらっといて、そんなコト言うなんて贅沢すぎるわよ?」
そう言って。
理央は“すみませーん”と店員さんを呼ぶ。
「あんたは捨てられたんじゃなくって、すれ違ってしまっただけ。
コレは神様からアンタに与えられた試練なんだと思って、頑張りなさい。」
「なに、それ。
そんな試練いらないよー!!」
そんなドSな神様に好かれるのは心からご遠慮致します。