少し肌寒いくらいの夜風を浴びながらアリストコートの前に立ち。
ガチャリと玄関の扉を開けて
「ただいま。」
と呟くと
「おっかえりー!!伊織!!」
理央はもう帰っていて、リビングには美味しい匂いが立ちこめていた。
「いい匂い♪
今日のゴハンは何なの??」
リビングのソファーにボスッと荷物を置きながら訊ねたら
「ジャジャーン!!今日は精力つけるわよってコトでニンニクたっぷりのギョーザと中華スープよっ!!」
理央はカリカリに焼かれたギョーザを私の目の前に差し出して自慢げに答える。
「わっ!!じゃあビール飲みたい!!」
ギョーザにはやっぱりキンキンに冷えたビールでしょうっ!!
そう思って冷蔵庫を開けるとビールは350mlの缶が2本しか入っていない。
「ねー、理央。ビール2本しかないよ?」
「えっ、マジで!!??
あちゃー確認するの忘れてたわ。」
そう言って、理央は心底悔しそうにキッチンにうなだれかかる。
――理央…飲むの好きだからなぁ。
理央も私もアルコールが大好き。
特に理央は『この一杯の為にあたしは1日働いてんのよっ!!』って豪語しながら夜な夜なこのキッチンで晩酌をするのが日課。