「川口をブスなんて思ったこと一度もない。俺はずっと憧れてたんだから」
「あ、憧れてた…!?」
わ、私なんかに?!
憧れる要素一つも持ち合わせてないですよ私!!
「そんなことない。
川口ってさ、どこのグループにも属してなかったじゃん。
普通、学生ん時ってさ、みんなとつるみたくなるだろう?グループとか作ってさ。みんなと同じようなことばっかやって。ホントは嫌なのに仲間外れになると思って無理に周りと合わせたりしてさ。
でも川口は違ったじゃん。自分の意志はしっかり持ってて、自分の意見をちゃんとみんなに話してた。俺から見るとそれ、ホントすごいことに見えたんだよ。
俺はずっと周りの期待に応えようと精一杯でさ。〝自分〟なんて持ってなかったから」
だから。
自分をしっかり主張できる川口に憧れた。
いつの間にか川口のこと目で追うようになってた。
けど、昔の俺は自分の気持ちを伝えることができなかった。
川口の気持ちを聞くより、周りの反応の方が怖かったんだ。
ホント、意気地無しだよな。
そう呟きながら八木橋くんは笑った。


