アイドルな彼との恋語


「ケガしたのが大きかったかな。でもどんなに好きでもさ、俺の能力じゃ限界だって思ったんだよなー。どんなに努力しても、成功する人間なんて一握りにも満たないもんだし。いつまでも夢見てるより、現実見た方がいいかなって」







だから諦めた。








そう八木橋くんは呟いた。






成功する人間なんて一握りにも満たない。











八木橋くんの話を聞いて、ふと思ってしまった。






今の会話をリンが聞いたら彼は何て言うのかなと。






今まで何とも思ってなかったけど、リンはその一握りにも満たない中にいる人間なんだよね。







初めから成功してる人間なんていない。







リンはそこに至る為に、どれだけ努力をしたのだろう。






どれだけの困難を乗り越えたんだろう。












そうだ。



私、何も知らないんだよ。








…距離が近くなっただなんて錯覚だったんだ。







だって私、リンのこと、何一つ知らない……―。