『ん゙ーっ!ん゙ーっ!』
色気のない声で必死に抵抗すると、暫くしてから解放された。
とろけるようなキスをされているのに、おとなしく身を預けられないあたし。
まだまだお子ちゃまだな、先生の視線がそう物語っていた。
悔しくて、悔しくて、……でも、言い返せない。
「早くお前から舌でも絡めて欲しいもんだなァ」
にやりと意地悪な笑みを浮かべ、蕪城先生はさらりと言ってのけた。
し、し、した、舌って!!
驚き固まってしまったあたしを見て、また先生は笑う。
どうにも越せない壁を感じながら、あたしは小さく不満の声を漏らした。
『………先生は、あたしのどこが好きなんですか?』
チャイムが鳴った。
仮にも生徒のあたしに堂々と授業をサボらせている目の前の教師は、はたして如何なものなのか。
…まぁ、言ったところでなにも変わらないんだけど。
「なんだ?いきなり」
先生はさして驚いた様子もなく、寧ろ来ると思ってたと言いたげな表情であたしの髪に触れた。
するりと絡まる細長い指が、やたらと扇情的に映る。
……甘美な病に冒されているのは、あたしの方なのか。

