スノー*フェイク 【番外編】



『い、いひゃい!!』


「目ぇ逸らすな。こっち見ろよ」




こっちは羞恥心で燃え尽きてしまいそうだと言うのに、蕪城先生はいたって冷静だった。


……大人の余裕ってやつ?


しっかり目が合っているのを確認してから、蕪城先生はあたしの頬から大きな手を退かした。


じわりと残った先生の熱が、またあたしの顔を赤く染め上げる。




「……さっき、妬いてただろ?」




突拍子もない発言に目を見開くと、蕪城先生の唇が綺麗な弧を描いた。




「は、図星かよ」


『~~~じっ自意識過剰も良いところですよ、蕪城先生!』




口を尖らせながらそう反論すると、蕪城先生はぴくりと片眉を吊り上げた。


不機嫌な表情を保ったまま、先生が目を細めた。




「……へぇ?んなこと言って良いと思ってんのか、お前」


『い、いけませんか!?』




負けないんだから!


語気を強めて言い返すと、蕪城先生の手があたしの顎に掛かった。


瞬きをする暇もなく、強引に唇が重ねられた。




『かっ、かぶら………んんっ…!』




あたしの言葉は、呆気なくキスに飲み込まれた。