ずっと繋がれていた手が離れたかと思ったら、ひょいっと抱えられた。
お姫様抱っこじゃなくて、脇の下に手を入れられた形で。
『え、うわ、やっ…!!』
どさっと机の上に座らされ、少し屈んだ蕪城先生と視線が絡み合う。
逸らそうにも身体は一切動かなくて、あたしたちは無言のまま数分―――いや、本当は数秒―――見つめあった。
「ぷっ、…ははっ!!すっげぇ顔してるぞ、お前!」
お腹を抱えて笑い出した蕪城先生の背中を、容赦なくバシッと叩いた。
…ば、バカにされてるっ…!
カアアッと赤くなった顔を見られないために、あたしは思いっきり蕪城先生から顔を背けた。
「おい、拗ねんなって」
『拗ねてません!!』
「緊張してガチガチになってるお前が可愛くて、な」
『かっ…可愛くないです!!』
ちらりと視線を動かせば、クツクツと喉の奥で笑う蕪城先生の鋭い切れ長の目とかち合った。
恥ずかしくなり間髪入れずにまた逸らすと、ぐにっと頬をつままれた。

