俺のスーツの上着を羽織った春姫は、すやすやと寝息を立てている。


そのすべらかな頬に、そっと触れた。




「(まさか気を失うとはなァ…)」




ったく……最初は冗談半分で言ったのにな。


このままやるなんて、さすがに場所的にキツい。


なのに。




「(……抑えが利かなくなったのは、俺の方ってか…?)」




この昂った熱はどうしろっつーんだよ、バカ春姫。


行き場を無くした熱情を、紫煙と一緒に吐き出した。


……そういえばお前の質問に、ちゃんと答えてなかったな。




“あたしのどこが好きなんですか?”




逆にお前に聞き返したら、即答で『顔』とか言われそうで怖ぇな…。


嘆息を吐きながら、春姫の顔にかかった髪をそっとどける。


…2年前より、確実に綺麗になった。


寝顔に見惚れながら、俺は無意識のうちに呟いていた。




「………お前はすぐ暴走するよな。目が離せねぇっていうか……」